毎週火曜日の京都市内への野菜セット配達は、就農した2010年からビッグアイランドへ移住する2016年までの丸6年続けました。2013年3月5日火曜日、この日もいつもと同じく早朝に採った野菜をセットにして午後から京都市内の個人宅に配達に回りました。配達終盤、左京区にあるフランク菜ッパに雑談のために立ち寄りました。これもいつものコース。
フランク菜ッパに到着するのはいつも夕方遅く。すっかり暗くなった鞠小路を下っていくと、明かりがともった一角で、お客さんらしい女の子と喋っている室井さんの姿が見えました。店の前に車を停めると、陽気な室井さんの声だけが路地によく響いていました。いつものフランク菜ッパの光景です。
「あ、ホセ来たでー! ホセ、この子なー、『ノーカトーク』行ってくれたんやで!」
どうやらフランク菜ッパに置いたチラシを見て、『ノーカトーク』に来てくれた人らしい。近所に住んでいて、いつもはもっと早い時間に買い物に来るのに、今日はこの時間に出直してきてくれたそうです。『ノーカトーク』での話がとても面白かったらしく、直接感想を言いに来てくれたのです。イベント後にも何人かから良い感想をいただいていた上に、こんな風に喜んでもらえるなんて本当に良かったな、としみじみ思いました。
「いっぺん畑に行ったってー!」いつものノリでどんどん話を進めようとする室井さん。半ば強引に、その人は次の日曜日に畑の見学に来ることになりました。当時、とうかげんの畑の見学に来る人はちょくちょくいて、女の子が一人で来るのも珍しくは無かったので僕も快く承諾しました。おとなしい感じの同年代の女性。連絡先の交換をする段になって、どうもスマホの扱いが苦手らしいことだけは分かりました。ああでもないこうでもないと大騒ぎした後に、ようやく1通のシンプルなSMSが僕の携帯に届きました。
「重松麻起です。」